えっ、タナボタ企画って?(2/2)【コラム⑫】

※こちらの記事の続きです。
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宣伝が足りず初日の客席が埋まるかヒヤヒヤでした。

けれど、見終わったお客さんが口コミで宣伝してくれたお陰で、二日目からは当日券に長蛇の列が……。勢いそのままに幸二郎の夢だった宝塚のバウホールの公演に出かけ、信じがたいことにこちらも満員御礼。ゲストにタップの玉野和紀を加えて、男三人で宝塚に乗り込んだ次第。向こうのヅカファンの方々もびっくりしていました。

この公演で生まれたのが「レミゼ・チャンチャカチャン」という曲。ロミオがロレンス神父のもとへヴェローナ追放の知らせをしに行くシーンで、10分以上にわたり「レミゼ」の曲だけを繋いで二人の心境を描くというとてつもないパロディ・ナンバー。二人の迷演に大いに助けられました。

その後、『真説カサブランカ』で、幸二郎がオスカルを演じ……なぜ「カサブランカ」に「ベルばら」が? といった疑問はさておき、これも笑いに包まれて大成功。そう言えば、シリアスなミュージカルが好きな僕なのに、評判がいいのは「スターライト・ムーンライト」といい、タナボタ・ミュージカルといい、コメディタッチな作品ばかり。ああ、悲しい! 本当の自分が分からない。

ところで、二本のお笑いミュージカルをやった後で、折角歌の上手いミュージカル役者が揃っているのだから、ショー形式の舞台もいいんじゃなないか? こうなったら日本で一番のショーステージを目指そうという事になり、「Nothing But Musicals」というシリーズを立ち上げることになりました。

翻訳すると「何はなくともミュージカル」。毎回ミュージカル女優をゲストに迎え、夢のような一晩を過してもらおうと企画したこのシリーズは全5回。その後も、新日フィルをはじめとしてオーケストラとも共演することになりますが、どのステージも素晴らしい歌声に包まれた至福のひとときを提供することが出来たと自負しています。

勿論、それと並行してミュージカルの作品も「貧血鬼ドラキュラ」(岡幸二郎の演じるドラキュラが、自分より美しい女性の血しか吸うことが出来なくなり、結果貧血症になると言ったストーリー)など頑張っていたのですが、十年前に理由はよく分からないまま中断して今に至っています。

そして僕が東温市に移住したことで、更に「タナボタ企画」の復活は望めそうにありません。

ただ、去年こちらに来て何か一つ素敵な企画をと考えた時に、まず頭に浮かんだのは「粒ぞろいの歌い手が揃ったミュージカルショー」でした。それが昨年から始めた「ミュージカル・ガラコンサート」です。多分、東京や大阪でミュージカルの大きな舞台を聞いたことのない方々には衝撃的な舞台だったと思います。

「ミュージカルは歌です」。近頃はダンス中心のミュージカルが大流行りですが、人に感動を与えるのはやはり歌の力、歌の魅力です。僕はそう思います。

それを教えてくれたタナボタ企画の2人の役者には感謝ですね。

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Jin Tadano

Jin Tadano

東温市は古い上着をなかなか脱ごうとしないそうだ。でも本物の文化は受け入れるだろう。時代は変わり、新しい風が吹き始めている。若者の間に芽生えたこの風潮をしっかりと受け止め、東温市発信のアートを広めたい。

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