えっ、タナボタ企画って?(1/2)【コラム⑫】

 

このふざけた名前は何?

それは、僕が20年ちょっと前に林あきらと岡幸二郎とで作ったミュージカルのためのユニット名です。

20数年前に島田歌穂の事務所から演出の依頼を受けた際、作曲家を誰にするかで僕が林あきらの名前を出した……筈です。フォーリーズを辞めて独立した時に、わが家で色々な仲間を集めて新年会を開きました。その席になぜか林あきらが紛れ込んでいたんです。

どうしていたのかは謎ですが、作詞と作曲家のコンビを組もうと、二人で大いに盛り上がったのはよく覚えています。ロジャース&ハートの出会いみたいなものですね。そして多分1月4日に歌穂ちゃんの社長から演出依頼の電話が掛かってきて、そこで林あきらの名前を出した……筈です。そこで生まれたのが『スターライト・ムーンライト』というミュージカル。

その後、林あきらが自分のエレクトーンのコンサートで第二部として独りミュージカルをやりたいと言い出しまして、彼がジュリエットを演じ、シェイクスピアが考えもしなかったであろう裏話を綴った『真説ロミオとジュリエット』という作品をやることになったんです。

ところが考えているうちに、カッコよいロミオが突然現れて一曲歌い、疾風の如く立ち去るという新たな場面がどうしても欲しくなってしまい、じゃ誰にということになった時、二人の口から同時に出た名前が「岡幸二郎!」。そう、『レ・ミゼラブル』でアンジョルラスの役をやり、若い女性の心を鷲掴みにしていた二枚目の彼が、なんかの打ち上げの席で、女装をしてイメージを完全に覆したという話を聞き、これはもってこいの役者が現れたと思ったわけです。

で、岡幸二郎に台本を見せたところ、これがまたチョーノリノリで、結局最初から最後まで二人ミュージカルでやることに決まりました。

場所は渋谷の旧名「エレクトーンシティ」。キャパ250の一回公演。「岡幸二郎」の名前を出したら客が溢れ返るだろうと、幻のゲスト扱い。そして、本番はあまりのおかしさにビデオを撮っている僕の手が震え通し。終了後、来年今度はちゃんとした形で再演をしようと相成ったわけです。

でも、現実はそう甘くない。口ではやろうと言いながら、誰も動かなかったので、ちょうど良さげな劇場が空いていなかったのです。三人のスケジュールの空いている期間はわずか。仕方なく片っ端から電話して、どうにか北沢タウンホールともう一つ……アレッ何処だっけ? 忘れちゃった。

とにかく一つの劇場ではキャパが足りないので、二つの場所をはしごして、どうにか公演が打てました。しかもキャンセルがあってどっちかの劇場が空いたからというギリギリの状態。棚から牡丹餅的に公演場所を確保できたということで、ユニット名を「タナボタ企画」に。

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Jin Tadano

Jin Tadano

東温市は古い上着をなかなか脱ごうとしないそうだ。でも本物の文化は受け入れるだろう。時代は変わり、新しい風が吹き始めている。若者の間に芽生えたこの風潮をしっかりと受け止め、東温市発信のアートを広めたい。

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