一遍上人とBABYMETAL【コラム⑧】

 

皆さんは『BABYMETAL』という女の子三人のメタル・ダンス・ユニットを知っているだろうか?

テレビにも雑誌にも出ていないし、握手会などのファンとの接触もなし。名前も聞いたことがない人も多いだろうが、実はこのグループ、凄いんです。どう凄いのか……何せ僕、一昨年なんて、365日一日も欠かさず、毎日更新されるベビーメタル(通称べビメタ)に関する記事を読み、動画を漁ってた。飽きることなく見続けていたけれど、趣味の範疇を越えることはないだろうと思ってたのが、ここに来てどうにか仕事と絡めそうな気が……。

昨年、坂村眞民のミュージカル『しんみんさん』を作った際に大変お世話になった眞民記念館の西澤館長と話をしていたら、一遍上人が面白いからと推奨された。

ただ、一遍上人って、あまりにストイックで面白みがないように感じられて半年近くそのままにしていたのだが、こないだ本を読んでみたところ、『ジーザス・クライスト=スーパースター』(※1)のように、全く新しい仏教を説く一遍上人に手を焼いた他宗派の僧が、彼を潰しにかかるストーリーも面白いかと思っていたのだが、次第に、彼の「踊り念仏」という部分に惹かれて行った。狂ったように踊って周りの人間たちを巻き込んでいく様子が何だかとってもグッドだ。

昔見て感激した『阿国』という芝居の持っている猥雑さがそこにあるような気がして興奮する。木の実ナナが主演したその芝居は、乞食風情の歌舞仲間のあり余るエネルギーが感じられて、いつかああいう芝居を作ってみたいような誘惑にかられたものだ。

そして、日本の楽器とロックとの融合である「和楽器バンド」(※2)や、特に「六三四(MUSASHI)」(※3)というグループの紡ぎ出す音楽に惚れていた僕は、すぐに音楽とダンスのイメージが広がった。鎌倉時代の仏教の先生が現代の音楽で踊って教えを広める。そしてその踊りを考えた時、我を忘れて体をゆすぶるダンス。そう、それはハードな音楽でヘッド・バンギング(ヘドバン)を繰り返すメタルそのものではないか!

ベビメタを知るまではメタル・ミュージックなど聞いたこともなかった僕が、何せクラシック音楽が一番だと信じている僕が、メタリカやアイアン・メイデンやジューダス・プリーストのうるさい音楽を楽しんでいるんだから人間変わるものだ。そして和楽器とメタルの組み合わせに可能性を感じるというか、そこに暴力的な念仏の響きが重なって、新しいダンスが生み出されたら……? 興奮するじゃないですか!

勿論、問題はそこに一遍上人の「すべてを捨て去り」という生き方が、どう現代と結びつくか? そしてべビメタ好きの僕としては三人の女の子たちの存在をどう取り入れるか? 簡単な答えはないが挑戦するにはいい題材だろう。

道後生まれの一遍上人。坂村眞民と上人像との触れ合い。どうにかして陽の目が見られたら。
そうだ、シアターよりもアトリエNESTの方が合ってるか?

 

(※1)聖書を題材にイエス・キリストの最後の7日間を描いたロックミュージカル。
(※2)詩吟、和楽器とロックバンドを融合させた、新感覚ロックエンタテインメントバンド。
(※3)日本の伝統楽器である和太鼓、津軽三味線、尺八とギター、ベース、ドラムス、キーボードという洋楽器のサウンドを融合させ“新たな日本の音”を創造するべく結成された七人編成のロックバンド。

※アイキャッチ画像は、かわいいメタルで世界を変える「BABYMETAL」の挑戦より引用しています。

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Jin Tadano

東温市は古い上着をなかなか脱ごうとしないそうだ。でも本物の文化は受け入れるだろう。時代は変わり、新しい風が吹き始めている。若者の間に芽生えたこの風潮をしっかりと受け止め、東温市発信のアートを広めたい。

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