「演劇が田舎にもたらすもの」東温市地域おこし協力隊インタビュー(演出家/劇作家:高山力造さん)

愛媛県の真ん中あたりにある小さなまち、東温市。

自然豊かな山あいの暮らしが残るこの場所では、昨年2017年より市をあげてアートのまちづくりに取り組んでいる。

その中心を担う役割として移住してきた地域おこし協力隊のひとり、高山力造さんに話をうかがいました。

高山力造 (演劇作家/舞台演出家)
九州大学演劇部で舞台を始め、福岡と北九州で約15年活動。演劇だけでなくコンテンポラリーダンス作品にも多数出演。福岡市内の専門学校や通信制の高校で舞台演技指導を9年間務める。2017年4月から東温市地域おこし協力隊として愛媛県東温市に移住。東温市拠点の世界劇団に加わって舞台製作を始めている

いちばんは「人の距離感」が変わった

ー 東温市に移住して、1年以上生活してみてどうですか?

いちばん感じるのは、人の距離感です。「距離感」っていうのは、ほんとに具体的な距離感というか、物理的なスペース。人口密度的な話なのかもしれないけど、歩いてて自分が自由になるスペースっていうのが格段に広くなった気がします。小倉や福岡に住んでいたときよりも、圧倒的に人がいないというか・・・無関係な人がすぐ近くにいる状況が極端に減りました。というかいないですね、基本的に。(笑)

・・ってなったときに、そのことに別にストレスを感じてなかったと思ったんです。そういうこと(無関係な人が周りにたくさんいる状況)に対してストレスを感じてなかったと思ってた。けど、久しぶりにふと、観劇や出張で東京や大阪くらいの規模の都市にいくと、「うわっ」って体の状態が変わるのがわかって・・・それは、気づかなければ気づかないままで一生終えたかもしれないけど、それに気づいた。

自分は都市部より、人の少ないところでいるほうが向いてるんだなっていうことを改めて理解したんです。なんとなくいいなーとは思っていたけど、その根本が東温での移住生活を通じてわかりました。

やっぱり文化的なものの供給は少ない

ー いわゆる地方、田舎と呼ばれる場所に移住して、困ったことってありますか?

うーん、結局、「舞台芸術」とかぼくが今まで関心のあったことが遠ざかってしまった。というか、コストがかかるようになりました。(質の高い舞台芸術などを観れる場所が)ほんとに少ない。シアターねこ(*1)はあるけど・・・福岡ではもっと頻繁に観れてたし、東京とか都市部へのアクセスももっとよかったと思います。松山空港まで行けば問題ないのかもしれないけど、感覚的に。実家の広島も、福岡のときより距離的に近くなったと思ったら、(物理的にかかる時間だと)全然遠かったですね。。(笑)

だから、やっぱり何かその、ちょっと文化的なものというか、都市で発展しているものの供給は少ない感じはするかな。それは、マテリアル(物質的なもの)だったら物流で何とかなるんだろうけど、カルチャー(文化的なもの)としての、そういったものの波及みたいなことはすごい少ないっていう・・・

ー そう考えたら、今取り組んでいる「アートヴィレッジとうおん」の活動って・・

うん、それすごい意味のあることだと思うんだよね。結局、いろんなものに触れる機会を増やす機能にはなる。もしこの形でちゃんと続けることができれば。

なんか平田オリザさん(*2)が、東京とそれ以外の地方の格差の話をしたときに・・文化資本は、お金に数値換算できないけど、圧倒的に差がつきすぎて、そのうちAO入試みたいなことを始めて全部の入試がそうなったときに、たぶん地方は太刀打ちできなくなるんじゃないか、っていう話をしていて。

文化資本に触れられる機会は圧倒的に東京が恵まれてて、そうじゃない人たちは、そもそも物差しを持ってない、みたいな状況を作ってしまうっていうね。


(※東温アートヴィレッジセンター内の事務所で、イベント企画などの作業をする高山さん)

衝撃を受けた演劇感のちがい

ー なるほど・・確かにそうですね。

あと、こっちきて衝撃だったのって・・「演劇=ミュージカル」っていうのはやっぱり衝撃でした。

こっちきてから、「演劇好きです」って人は結構意外といたんだけど、ミュージカルの事しか話題に出てこない・・ってなったときに、正直に言うと「この人たちは何を見てるんだ・・?」ってなりました。(笑)

それは(ミュージカルの良し悪しではなくて)逆に言ったら、僕の中ではミュージカルってひとつのジャンルでしかなかったんです。なんだろ・・例えば、演劇村100人いたとすると、小倉に住んでいたときの演劇村のイメージは、ミュージカルは多くても20人くらいかなって思ってたんです。

それ以外にも古典芸能とか、演劇でも商業系のお芝居が好きな人、小劇場のスタイルが好きな人とか、あとダンスだったり、もっと多様なものがあって、たくさんの種類があって・・(その中で)この辺が好き、あの辺が好き、って人がたくさんいるイメージ。

それが、こっちに来たら8割がミュージカルだった。「え、俺2割側だったんだ」と思って・・(笑)ぼくは8割のほうにいる思ってたけど、逆転しましたね。

ー それは、愛媛特有かもしれないですね。ぼくも坊っちゃん劇場(*3)しか観たことなくて、「演劇=ミュージカル」なイメージはありました。

もしかしたら、東温市が極端なのかもしれないね。坊っちゃん劇場っていう立派な劇場があるけど、子どものころにミュージカルしか観てなかったら、そうなるのかもしれない。それは、ほんとに触れる機会がないから当たり前で・・。

ぼくは、好き嫌いじゃなくて1回観ておくことってすごく大事だと思ってて。好き嫌いはあるので、とにかくいろんなものを。「いろんなもの」っていっても、1年間に4~5本見れたとして、ミュージカルもあって、他のものも何本か観た上で、「演劇が好き」っていうなら、それは素敵だと思う。けど、ミュージカルしか見たことなくて「演劇が好き」は、ちょっと不健全な気がしたんです。

これだけいろんなものが流通してて、交通アクセスもできてて、それを観る機会が担保されていないっていうのはね。

それは音楽もそうだと思います。JPOPしか聴いてないのと、親が興味があったりして生音でムーさん(*4)みたいな人がいるとこに行く機会があるかって、格段の差になると思うんです。

(※2018年4月にオープンした東温アートヴィレッジセンター。ロゴは、山々などの自然と人々の暮らしが共存する東温らしさを表現している。ここでは、さまざまなアートイベントが行われている。)

ロングスパンで「田舎だから仕方ない」をなくす

ー 確かにそうですね。ぼくも「アートヴィレッジとうおん」がはじまってなかったら、小劇場の演劇も、ムーさんみたいな人たちの演奏に触れることもなかったです。

そうそう。その差を、たとえば、それを地方だからって甘んじて受ける、みたいなことが正しいのか?とはちょっと思います。「田舎だから仕方ないよね」という場所で育つんじゃなくて、たとえば行政がちゃんと入って、(質の高いアートに触れる機会を)少ししかできなくても「やりましょう」っていう自治体で育つのとは違う。これって、20年後くらいに確実に差が出ると思う。たぶん城崎(*5)はそれを今やってるんだと。

だから、ショートスパンの問題じゃないと思ってて、ロングスパンの問題として、この土地がどういう風になっていくかとか、どういう文化的素養を持った人たちが市民社会を形成していくのか、みたいな話に意外とダイレクトにつながってくることだと思いますね。

演出家として地域での新しい取り組み

ー 逆に、田舎だからできること、この地域でやっていきたいことなど、この1年で見出したものは何かありますか?これとか気になってるんですけど・・・

(※高山さんが発起人となり、地域に眠る伝承などを掘り起こして、新たなパフォーマンス・アートを創り上げる「SCHOP TOON PROJECT」。)

ー 福岡や小倉で演出をされてたときとは、また違う感覚なんでしょうか?

そうだね。なんか今までの作り方だと、やっぱりいい俳優とやりたかった。演出家だから、(俳優もやるけど、)できるだけ自分のオーダーをクリアしてもらった上で、クリエイティビティを発揮してくれる優れた俳優と組めると幸せかな。演出家としては。

だけど、そんな俳優は見当たらない。地域の劇団公演を片っ端から観たけどそんな俳優はほとんどいなかったから、何をする?ってなったときに・・・「育てる」じゃないけど、いっしょにできる人を探すというか、いっしょに積み上げていく、いっしょにできるようになるっていう形にシフトしないとって思って始めました。そしたら、めちゃくちゃいい人が集まってくれました。

(※東温市の多世代交流スペース「横河原ぷらっとHOME」での雨滝甚句の稽古の様子。)

ー それすごくいいですね。「NEST TOON 演劇部」(*6)の活動もそういう感覚ですか?

うーん・・・こっち来て思ったのが、表現というか、楽器や絵が描けなくても「表現したい」と思っている人たちが意外にいる気がしたんだよね。まつやま市民劇団(*7)の演出をしたときに、ぼくなんて全然知名度もないし、大した情報宣伝もしてないはずで、演劇としての価値づけとしては全然注目されないような企画だったのに20人くらい集まってくれて。

そのときは小学生から60歳以上の方までのメンバーでちゃんとやれて。市民劇団だから少しずつ渡していって、なんとかちょっとずつ創り上げたものが、意外に感触が悪くなかった。ひとつ大筋の物語があって、ストレートプレイというよりは、いろんなパーツでできた作品。ミュージカルしか知らない人からすれば、なにこれ?ってなる構成で創ったけど・・・「表現としてこういうのでもありだし、こういうのでも、なにか想像できるし、受け取れますよね?」っていう提示ができたんじゃないかと思って。客席の終わったときの拍手の感じとかは、久しぶりにいい拍手をもらったなって。これは(市民の方たちも)知らないってだけで、NOじゃないんだって思ったんです。

それを自信を持ってやって、ちゃんとファシリテイト(進行)できる人がいれば、これはできる土地なんだって思った、かな。

それを東温市で何年か腰据えてやるときに、そういうことをおもしろいと思ってくれる人が少しでもいれば、新しい形でいい作品作りができるんじゃないかなって。


(※すごくおもしろそうでした。「SCHOP TOON PROJECT」の作品は、2018年5月中旬よりクリエーションを始め、8月12日の東温市奥松瀬川地区の夏祭りで披露されるそうです。)

最初に言ったように、優れた人を呼んで作ることはできないけど、意味のある作品作りができるんじゃないかと・・・(NEST TOON 演劇部も)その母体づくりみたいな感じかな。

「ダサくない田舎」が東温にはあった

ー 話は戻るんですが・・・東温市で印象に残ってる場所やイベントとかってありますか?

東温市に引っ越してまだ(地域おこし協力隊として)着任する前に、何もすることがなくて、ひとりで滑川渓谷に行ったんです。まだそのときは誰も知らなくて、ネットで調べて、ひとりで奥の滝まで行ったときに・・・見たことない景色があって、「なにここ!?」ってなって。なんかジブリ感あるよね、あそこ。

福岡にいたときはそんなに郊外に車で行くことはなかったんだけど、仮に、あのロケーションとあんなものがあったらすげー話題になってる気がした。福岡の近くにあんなとこがもしあったら。なんで誰もいないの?って。あれって作ろうと思ってできるものじゃないし、自然にできた地形で、あれはすごいなと思って。

あれ見て「こっちきてよかったな」って最初に思ったかな。滑川渓谷の奥の滝を見たときに「あ、いいとこきたな」って。

(※東温市滑川の滑川渓谷(奥の滝)。高山さんの言うようにジブリのような神秘的な空間が広がっています。冬には氷瀑と巨大な氷柱が絶景を創り出します。)

あと、観月祭(*8)のときにやってた「東音夜市」はよかった。OTTO(*9)の前であったやつ。なんか田舎だとああいうことってないイメージだったけど。いわゆる「田舎のお祭り」感じゃない感じでちゃんと楽しめる、お洒落な雰囲気で。けどそんなに人混みが過剰ではない、みたいな。あれはよかったな。

なんだろ・・なんか「ダサくない田舎」がある、みたいな感じはしました。それをちゃんとライフスタイルとしてやろうとしてる人にいろいろ知り合えたのはよかったです。

こっちきて「東温市何もないよ」っていう人って、「ダサい田舎」として自己認識してるだけで・・。語るべきものがないみたいな。けど、そこにちゃんと違う視点で価値を見つけれる人たちが入ってくるっていうのは、すごく大事だと思う。だから、地域おこし協力隊みたいな立場で、どんなやつかわかんなくても(地域に)入ってくる意義はあるのかな。

今の生活があるのは、畑を借りたからかもしれない

ー そういえば、畑もされているんですよね?

うん、移住して1ヵ月くらいの去年の5月から始めました。去年1区画だったのを今年は2区画に増やした(*10)んだけど、1年でもちゃんとやれば勉強するんだなって自分でも思いました。なんとなくそれまでは、野菜なんて種を植えて水をやればいいと思っていたのが、そうではなかった。「知らない」ってこういうことかって、畑を通して感じたかな。

(※朝早くから農作業をする高山さん。トウモロコシ、トマト、ナス、ズッキーニ、ゴボウなど・・・小さな区画に本当にたくさんの野菜を育てていました。)

ー まさに半農半芸みたいな生活ですね。

今、キュウリ2株植えてて、2日に1回とか行けば2本くらいは取れるんだよね。トウモロコシも、ジャガイモもたくさんとれたよ。なんか生活の足しになるというよりは、「食の安全」をすごい考えるようになったかな。安心できるっていうか。作ってるプロセスを全部知っているから。


(※収穫した野菜。農薬は使用せず、自然農で試行錯誤しながらされているそうです。)

米ぬかとか燻炭とかは使うけど、それ以外は使わない自然農法を実践してて・・・こっちきていちばん読んでるのは、たぶん農業関係の本だと思う(笑)

ー (畑のある)奥松瀬川に引っ越したのが、たしか1月でしたよね。

うん、そうそう。(畑に通ってよかったことで)いちばんは、地域の人に声かけてもらえるようになったことかな。結局、畑やってたからあの家(今住んでいる家)が見つかったみたいな感じだし。畑やって、森田さん(*11)とつながって、光右衛さん(*12)から地域伝承の話(SCHOP TOON PROJECT)もきて、家も見つけてもらえて・・・

(現在住んでいる奥松瀬川地区には)来るべくしてきた感じはあります。

(※高山さんの暮らす奥松瀬川地区では、こちら交流拠点「ほっこり奥松」を中心に地元の方々が地域を盛り上げている。)

お金のかからない「草演劇」ができる場所を

ー 演劇のこともやりながら、畑をして、地域にも入り込んでいてすごいです・・!最後に、今後東温市でやっていきたいことってありますか?

「お金がかからない方法で演劇を作っていく」っていう、草野球的な「草演劇」で演劇をやれる場所があると根付くんじゃないかなと思ってて・・

演劇部も今は(協力隊として)お金もらってやってるけど、稼ぐつもりがあんまりないから困ってる。(笑)

むしろ、お金がかからなくて負担がなくて楽しめる場所をつくっていって、本当にもっとしっかりやりたいなって思った子たちの道筋をつけるために、今やってる演劇部みたいなことがもうちょっと基礎から教えれるような場所になって・・・みたいな。まあ稼ぐならそこなのかもしれないけど、いまはステップが一つ高いんだよね。

たとえば、演劇部も一人100円くらいで参加して場所代だけみんなで割ろうよ、みたいなことをやって、「もっとちゃんと演劇やりたいな」「もっとしっかりした長編の演劇作品つくりたいよね」みたいな人がある程度増えたら、そのために必要なことを教える場を作れたらとは思ってるかな。いまはそれが両方混とんとしたまま演劇部をやってるから、ちょっと整理はしたい。

たとえば草野球じゃないけど、少年野球とか少年サッカーとかでも「この子もしかしたら(すごくなるかも)」みたいな子がいるじゃん。けど、大半は「楽しかったね」で辞めていくよね。ぼくは、それでいいと思ってて、そういう場がほしいなと思ってる。

「演劇を立ち上げる」っていうところからいっしょに考えながらできる場所がほしいなと思って。そこがあって、いっしょにやろうよって演劇をやってて、本気でやりたい人が出てきたときに、プロ目指す入り口に行く、みたいな。そういったピラミッド構造が今はないので。

外から俳優を呼んで、ちゃんとした作品を作って、「はい、いいもの観れるよ!」みたいなことはできるけど・・・もちろん「観れる環境」は大事だけど、それだけじゃないと思います。

誰でも「新しい気づき」が得られる即興演劇ワークショップ

ー 演劇の普及もロングスパンで考えられているんですね。もうひとつ最後に、告知などはありますか?

うん、これ!

これ、ほんとに、正直、ぼくの中で心の師匠なんですよ。今井純さんって。

師匠っていうか、即興演劇といわゆる台本のある演劇って、別でしょって言われちゃうんだけど、純さんのワークを受けたら、すごいつながるんだよね。台本を使ったセリフを扱う演劇のときに必要な俳優の立ち方とか居方みたいなことがめちゃくちゃ勉強になるから、絶対に受けたほうがいいと思う。

ふつうにやってたら気づけないことに気づける。できない理由がわかんないけどできないっていちばん苦しくて。そういう部分がすごい見えると思う。と、ぼくは思ってて。そういうとこを見つけて、一人ひとりに整理して言語化して伝えてくれたりとかするんで。

ー 演劇経験ない人でも、大丈夫ですか?

なくても全然いける。結局、即興って、人間人生生きてるのが即興でしょ。みたいな話で・・(笑)それをどう人に見られているときに使いますか、みたいなことだから、できなくはないよね。できなくはないっていうか、ほんとは変に色がついてない人のほうが、もしかしたら楽しめるかも。つまり、演劇っていうものに対して固定観念がない状態の人のほうが。

ー 他に、どんな人におすすめですか?

なんか、コミュニケーションが苦手というか・・ふつうに話せるんだけど、ちょっとなぁって人が受けてみればいいとは思うんだけど、ハードル高いよね・・

ー それ、ぼく受けたほうがいいかもです(笑)

いや、ほんとに、「人とつながる」みたいなことって恐いじゃん。それを「こわいよね」ってちゃんと理解した上で、チャレンジするかどうするかってやっていけば、結局「慣れ」だから、っていう話もしてて。慣れるためのトレーニングだから。(徐々に)受け入れられるようになるよね。

(今井純さんは)ちゃんとワークショップの技法やファシリテーションを学んでいて、たしかな技術を持ってる人でほんとにすごいから。

自分が言語化できてなかったことを、言語化してくれて、「なんとなくこうかな」って思っていたことを整理された言葉で提示してくれたりっていうことも起こる。ほんとに1回だけでも受けてみたらいいと思う。劇的に変わるというわけではないかもしれないけど、確実に「気づきがある」と思うかな。それを変えるかどうかは自分の意志だけど、「気づくことができる」ワークショップです。

※イベント詳細はこちら
今井純インプロワークショップ in 愛媛東温

スポーツと演劇の即興性

ー たとえば、サッカーとかでも大事かもしれないですね。「言語化できること」とか「即興性」って・・

「即興性を考えること」ってスポーツとかなり結びつくと思うよ。

なんかあの対談(*13)で「サッカーのように演劇をやりたい」みたいなことぼく言ってなかったっけ・・・?あの頃にぼくがよく言ってたのが、それで。

サッカーって誰でも楽しめるけど技術も必要で、演劇も(同じように)誰でも楽しめる。でも「いいサッカー」とか「いい演劇」するには、やっぱりトレーニング方法はある。こういうことを練習するみたいなことはある。もしかしたら誰も見つけてない何か方法があるかもしれないけど、一応セオリーみたいなものはあるわけで。

本番が試合だと思ってて、演劇では。試合のために準備するじゃんサッカーって。演劇もそうであってほしいのに、なんか演劇って、結構練習のパターンそのまましかできない状態で本番に立つことが練習だって思ってる(ことがある)。

だから、サッカーのルールっていうのは台本(戯曲)、その戯曲がルールだとしたら、ルールをどうするかは本番次第だと思っていて、そういうトレーニングをしないとだめだよね。って思ってたことがある。即興性みたいなことをトレーニングしとかないと・・・て思っていて。

ー サッカーでも「練習のための練習をするな」ってよく言われますね。けど正直、演劇って、決まったセリフとかシーンを再現するものだと思ってました。

あー、そうだよね。だから、それがそもそもの日本の演劇の遅れている部分だとちょっと思っていて・・

極端なこと言ったら、同じコンディション同じ状況って、実は、セリフとか段取り決まってても起こらないから。コンマ何秒とかコンマ何ミリのチューニングって絶対その場の即興判断でやってるはずなの。

だけど、それなのに、なぜか拍数とその音のリズムでやったりしちゃったら・・・。要は、呼吸合ってなくてもやってる体(てい)でそれをやっちゃうみたいなことを平気でやり始めるの。本質的に起こってほしいのは、「結果、同じリズムだよね」のはずなのに、そのリズムを遵守するがために呼吸が合っていない、みたいなことが露呈しちゃって修正できない、という状態で舞台に立ってしまう。

だから、結局その場ではなにも起きてない。けど本当は、「本当にさもその場で起きていること」が見たいわけじゃん。なのに、だんだんそういう本当に見える要素をどんどん削り取っていくような練習をみんなしている。・・・っていうことに気付ける。っていう。(今井純さんのワークショップでは)

だから、ほんとにサッカーのようにいい試合もあれば負ける試合もある。けど、できるだけいい試合をするために練習するけど、過去にできたいい試合その通りに相手が動いてくれるわけでも、(演劇だと)俳優が動いてくれるわけでもないから・・・だって、同じチームと対戦しても絶対同じサッカーにならないよね。

ー なるほど。それはほんとに当てはまると思います。「即興性」って他にもいろんなことに関わってきそうですね。

・・・

(長くなりすぎてしまったので、この辺でインタビューは終了させていただきました)

高山さん、ありがとうございました。

(*1) 松山市にある民間の小劇場。館長の鈴木さんと知り合ったことも高山さんの移住の大きなきっかけとなった。
(*2) 劇作家・演出家
(*3) 東温アートヴィレッジセンターに隣接する劇場。「地域文化の発信」をコンセプトに、愛媛・四国・瀬戸内の歴史文化伝統をテーマとした演目を公演している。
(*4) ムー・テンジンさん(シタール奏者)。高山さんの同期の東温市地域おこし協力隊で、音楽分野を担当している。
(*5)城崎国際アートセンター 。2014年にオープンし、舞台芸術に特化したアーティスト・イン・レジデンスなどを実施。
(*6) 高山さんが部長を務め、東温アートヴィレッジセンターを拠点に活動する演劇部。他にも、美術部、軽音楽部もある。
(*7)正岡子規・夏目漱石生誕150年の節目の年に、二人の魅力を広め、未来につなぐことを目的に演劇を制作。高山さんが総合演出を務めた。
(*8)重信川の河原で行われるイベント。約5000発の花火大会は県下でも人気がある。約200軒の夜店が立ち並ぶ東温市の最大イベントの一つ。
(*9)東温市内のイタリアンレストラン
(*10)高山さんの利用している東温市奥松瀬川地区のレンタル農園では、年間10000円で1区画(3×6m)の畑が借りられる。
(*11)高山さんの住む東温市奥松瀬川地区担当の地域おこし協力隊。
(*12)奥松瀬川地区の区長さん。
(*13)取材の事前調べで見つけた数年前の高山さんの対談記事

演劇が田舎にもたらすもの

高山さんの活動している愛媛県東温市では、舞台芸術を中心としたアート(演劇、美術、音楽など様々なジャンルを含む)を用いたまちづくり「アートヴィレッジとうおん」を進めています。

今回、高山さんの話をお聞きして、改めて「演劇」が田舎や地方と呼ばれる場所にあることの意義を考えることができました。もともと舞台に興味がある人以外にも、演劇に触れることの価値は大いにありそうです。また、将来のまちを担う子どもたちの可能性を広げることにもつながります。

全国各地でアートを使った「地域の活性化」の取り組みが進められる中、東温市でも一過性のものではない独自のまちづくりが行われています。

その一端を担い、演出家として自分の得意分野を活かしながら、地域に溶け込んでいる高山さん。今後のご活躍にも期待しています。

 

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TOONBOX編集部

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東温から愛媛をこっそりたのしく発信しています。地域の魅力を伝える。地域の発信力を高める。ゆるいつながりを作り、地域を楽しみ、こっそり盛り上げることを目的としています。