どこに行くんだ、BABYMETAL?(2/2)【コラム⑨】

 

さて、2016年4月1日、ベビーメタルはセカンドアルバムをリリースした。

それまで二年余りを一枚のアルバム、たった13曲だけで回してきたことも驚きだが……実際、その曲だけでも、毎日のように聞いていても飽きなかった。僕は一度もライブに行ったことはない。若者たちに交じって首を狂ったように振るのも嫌だし、ずっと立ちんぼも辛い。だから彼女たちの本当の素晴らしさは知らないのかも知れないが、それでもyoutubeを毎日のように見漁っていた。

もう一つの驚きは、そのアルバムがアメリカのビルボードで、坂本九以来、なんと53年ぶりにトップ40以内に入ったことだ。

日本の名だたるアーティストがなしえなかったことを、10代の女の子たちがヒョヒョイとやり遂げた。しかもイギリスでも日本人最高位の15位を獲得。そしてアルバム発売日の翌日、ビートルズやマドンナなど世界的なアーティストがステージに立った、イギリスのウェンブリー・アリーナで日本人初の単独ライブを行ったのだ。

スーメタルが高校を卒業して2日目のこと。そのウェンブリーを皮切りに第三回のワールドツアーを敢行。アメリカとヨーロッパを中心に世界各国をめぐり、最後は東京ドーム2daysでツアーを締めくくった。日本で極端に露出の少ないベビーメタルがどうして55,000人収容の東京ドームを二日間満杯にできたのか?

彼女たちを長いこと追っている人間から見ると「流石!」って感じだが、その大事件を採り上げるテレビや新聞の少なかったこと!マスコミにおもねないベビーメタルの面目躍如というべきか、ただし、ワンオクやサザンや福山やパフユームなどを擁するアミューズにとって、売り上げ一位のグループであることは記憶しておいてもいいだろう。

で、普通考えたら、東京ドームを二日間一杯にし、さぞかし鼻高々かと思いきや、その後ベビーメタルのプロデューサーは、彼女たちに有名バンドの前座を踏ませるという快挙(?)に出た。と言っても、レッチリやメタリカやガンズ&ロージズという超大物たちだが。そして普通では絶対にありえないことが起きた。レッチリやガンズが、前座であるベビーメタルのステージに神バンドの衣装で現れて、コラボしたのだ。彼女たちがどれほど愛されているか。

ただし、好事魔多しというか、2018年「神バンド」の最も尊敬を集めていたギタリストの突然の事故死。そしてかわいいの象徴だったYuimetalの健康上の理由による離脱。と重いニュースが続き、この年、ベビーメタルは迷走に迷走を重ねた。

どうなってしまうんだろうと世界中の誰もが心配したのだが、どっこい、彼女たちは生き残っていた。今年に入ってのニュース。サマソニの舞台で、大トリのレッチリの前にBABYMETALの名前が刻まれていたのだ。日本の地でレッチリとのコラボが生まれるかもしれない。

世界は期待を込めて見守っている。そして、僕も『一遍上人とBABYMETAL』の舞台であの興奮を味わいたい。

 

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Jin Tadano

Jin Tadano

東温市は古い上着をなかなか脱ごうとしないそうだ。でも本物の文化は受け入れるだろう。時代は変わり、新しい風が吹き始めている。若者の間に芽生えたこの風潮をしっかりと受け止め、東温市発信のアートを広めたい。

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